“知識が大切なのはわかるけど、ネットで検索すれば答えは出てくるから、教えてもらわなくてもいいと思う”
講師として活動を始めた頃、修了アンケートの回答に衝撃を受けました。
感情を抜きに読めば、率直な意見です。
ただ当時の私は、「あなたの行為は不要でした」と突きつけられたように感じたものです。
検索すればOK?マナーの意味とは
確かに今は、スマートフォン一つで多くの知識が手に入ります。
ビジネスメールの書き方、訪問時のマナー、敬語の使い方など…
事例も手法も、検索ひとつで簡単に得られます。
では、それでもなお知識を学ぶ意味や意義はどこにあるのでしょうか。
ビジネスでは、成果や効率はもちろん重要です。
ですが、その土台には相手に対する信頼があることが前提です。
社内外を問わず、「この人に、この会社に任せたい」と信頼してもらえるかどうかは、社員一人ひとりの態度や言葉遣いによって形成されます。
社員一人のふるまいが、企業全体の印象を決定づける…
マナーの知識は、個人だけでなく、組織の資産となるのです。
多様化しても変わらないもの
マナーは、国籍や文化的背景、また環境や世代や業種によって、表現方法や解釈が異なります。
こちらが適切だと思って取った言動が、相手に安心感を与えることもあれば、不信感を招くこともあります。
その影響は、契約や採用の場面など、組織の成果に直結します。
ですが、いくら時代が多様化しても変わらないものがあります。
それが、マナーの本質です。
マナーの本質は「相⼿を尊重する心」を、適切な「所作」や「作法」で表現することです。
加えてビジネスの場⾯では、限られた時間を有効に使うことが求められます。
完全に誤解を避けることは難しくても、知識があれば「相⼿が⼤切にしていること」を事前に推し量る⼿がかりになります。
マナーの知識は不要な摩擦を抑え、信頼を得るまでの時間を短縮する効果もあるのです。
知識は、瞬時に活きるもの
ここで少し、想像してみてください。
会議や商談中、敬語や応対に戸惑い、慌ててスマートフォンで検索する社員の姿を…。
その間、目の前にいる相手の存在を置き去りにしています。
検索の時間は空白の時間となり、会話のテンポだけでなく、企業の「対応力」への評価も下げかねません。
事前に身につけた知識があれば、「相手を尊重する心」を適切に表現する自然な動作が可能です。
マナー知識は個人の成長だけでなく、組織全体の価値創造につながるのです。
知識を地図に、経験を資産に
マナーに限らず、専門知識は地図のようなものだと、私は考えています。
目的地に合わせ、時間や距離に応じて、多くの地図の中から自分に合ったものを選ぶ。
そして実際に自分で歩き、その時々で道を選択し、調整する力を身に着けてこそ、自分の宝になるものです。
この積み重ねが、相手との間に安心と信頼という“目に見えない宝”に変わります。
また、情報があふれるから今だからこそ、経験で得た宝を蓄積し、個人と組織全体の資産に変える力が求められています。
「いつ、どの程度、どのような表現を用いるか」という判断力の積み重ねは、この時に大きな自信と力になるでしょう。
冒頭のアンケートの一言も、振り返れば私に新しい視点をくれた“地図”のひとつ。
このように受け取ることができたのも、マナーの知識があったからこその変化です。
マナーの知識は、個人と組織の未来を動かす力になると思えば、どれだけ時代が変わってもこれからの社会に必要だと、私は思うのです。
あなたの会社では、どうしていますか?
ひと言で『マナー』と言っても、接客や営業の職種に特化したものから、事務や人事・企画、エンジニアなど…マナーを何のために、どのように活用するかで得られる効果は変わります。
あなたの会社では、どのように社員に知識を定着させ、資産に変えていますか?
もし悩みや課題を感じているなら、ぜひ申し込みフォームからご相談ください。
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