転職や独立を前提としながら、就活で定着率を気にする人が増えている?

就職活動において、企業の定着率を重視する一方で、転職や起業・独立を前提にキャリアを描く人たちが増えています。

矛盾とも言えるこの現象は、現代ならではの労働市場や価値観の変化を象徴していると言えます。

そこで、企業の定着率を重視する一方で、転職を前提とする人たちの間にあるギャップについて、その背景を考えていきます。

目次

定着率とは何か

定着率とは、入社した従業員が一定期間を経ても会社に残って働き続けている割合を指します。

企業にとって定着率が高いことは、組織の安定やノウハウの蓄積、採用コストの削減など、さまざまなメリットをもたらします。

厚生労働省が発表する離職状況から考えると、入社3年以内の定着率は60~70%程度にとどまることも多いと言えるでしょう。

就職を考える個人からは「働きやすさ」をはかる指標の一つとも言えます。

一方、離職率の高さは「働きづらい職場」「やりがいのなさ」など、組織の課題を映し出す指標とされます。

企業は定着率を上げるために、従業員満足度の向上やキャリア形成の支援などが必須となるのです。

転職や起業・独立を前提とするキャリア志向

近年、転職や起業・独立を前提にキャリアを描く人たちが増えています。

特に若い世代やスキルを持った人材は、一つの会社に長く勤めることよりも、自分自身の成長や市場価値の最大化を重視する傾向が見られるようになりました。

実際、筆者が講師を務める大学でも、様々な理論を踏まえてキャリア形成について講義する中で、学生の反応が良いと感じるのは『プロティアン・キャリア』と呼ばれる【個人主体のキャリア形成】

スタートアップやベンチャー企業への就職は「将来の転職や起業を見据えて」という理由も選ばれる一つであることに加え、近年では企業での勤務経験を持たず、卒業と同時に起業を選ぶ学生もいます。

転職市場も活況で、企業が求める職種やレベルも変化している中では、転職を前提にキャリアを考えることは必ずしもネガティブではなく、むしろ積極的な自己投資や戦略的な選択として捉えられるようになっているのが現状です。

定着率重視と転職前提の矛盾

ここで興味深いのは、転職や起業を前提とする人たちが就職活動を行う際にも、企業の定着率を意識している現状です。

一見、企業に長く働いている人がいるかどうかを表す「定着率」と、自分自身のキャリアアップや成長を優先して転職や起業を視野に入れる「退職前提」の志向は矛盾しているようにも見えます。

ですが、実際には企業選びの際に定着率を気にする傾向が見られます。

これは、職場の安定性や働きやすさ、成長の機会があるかどうかを、定着率という指標から読み取ろうとする意識の表れだと言えるのではないでしょうか。

本人の中ではキャリアアップを考えている

転職や起業を前提にする人たちは、必ずしも「単なる逃げ」や「安易な選択」をしているわけではないと、筆者は考えます。

むしろ、本人の中ではその先のキャリアアップや自己成長を真剣に考えている場合が多いからこそ生まれる選択肢ではないのかと思うのです。

たとえば、スタートアップで経験を積み、将来は起業したいという人や、新卒の数年で企業経験を積み、より自分に合った企業への転職を目指してキャリアアップしたいと考える人がいます。

こうした人たちは、短期間での転職経験がネガティブに評価されることを懸念しながらも、長期的なキャリアビジョンを優先しているだけなのです。

つまり、企業が「定着率が低い=問題」と捉えがちな一方で、転職や起業を前提とする人たちは「自分にとって最適な成長の場を求めて動いている」という価値観や意識の違いだけなのです。

企業と個人の意識のズレを埋めた解決策を見つけるために

この意識の違いは、ミスマッチによる早期退職や、離職率の上昇につながることもあります。

企業は「長く働いてほしい」と定着率を上げることに目を向けているのに、個人は「成長の機会」や「やりがい」を重視していれば当然のことだと言えるでしょう。

転職理由を「一身上の都合」と曖昧にする人が多いのも、本当の理由を語れば会社が変わるかもしれないと思っているものの、現実には語りにくい風土や構造が残っているからです。

これらを踏まえると、企業は定着率を上げる努力と同時に、転職や起業を前提とする人たちの存在を前提としたキャリア支援や、柔軟な働き方を提供する必要があります。

また、個人も「中長期的なキャリア形成」と「自分が成長できる取り組み」のバランスを考え、自らのキャリアを主体的に設計する姿勢が求められます。

企業と個人がお互いの価値観やニーズを理解し、柔軟な対応ができる環境を作ることが、定着率の向上とキャリアの多様性の両立につながります。

あなたの会社ではどうしていますか?

定着率を上げたい企業と、転職や起業を前提とする人たちの間にあるギャップは、現代の労働市場の大きな特徴です。

この矛盾を乗り越えるためには、企業と個人が対話し、一緒に解決策を見つけることが重要です。

あなたの会社では、どのように社員に長く働いてもらう工夫をしていますか?

もし悩みや課題がある場合は、ぜひ申し込みフォームからご相談ください。

一緒に、定着率向上と多様なキャリア形成を両立するためのまごころ活用方法を見つけます!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次